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- 弦はいつ交換したらよいですか。
弦の材質は使っているうちに疲労してきます。特に芯線(コア)が顕著です。高調波成分や音の充実感がだんだんなくなってきます。一旦この傾向が起こると、演奏中にも急激に変化します。従って、弦の交換はできるだけ定期的に行うことが望ましいのです。また、交換するときは全部の弦を替えましょう。古い弦と新しい弦を混在させることは全体のトーン・バランスを狂わせるもととなります。- 楽器をしまうときには、弦をゆるめた方がいいのでしょうか。
その必要はありません。弦をゆるめてしまうことは、無駄な作業であるばかりか、弦にも楽器にも。よくない影響を与えます。- 弦にはいろいろな種類があるのですが、どうちがいますか。
弦の材質と太さは、音質に大きく影響を与えます。張る力を同じとした場合、シルバーとタングステンの弦は細めに、アルミニウムとナイロン弦は太目の弦となります。シルバー巻き弦は柔らかく力強い音色がでますから、低い方の弦に好まれて使用されます。
タングステンは低い弦の芯線として使われることが多く、音色というよりも左手のフィンガリングを容易にし、発音の応答性をよくするのに効果があります。
アルミニウム巻き弦は、音の輝きを増しますから、高い方の弦によく使用されます。
- 弦がさびたりするのはどうしてですか。
シルバー巻き線は空気中の硫黄成分と化合して変色します。またアルミニウム巻き線が湿度の高い中で他の金属と接触していると、そこが腐食してきます。楽器を弾きおわったら、汗や手垢をきれいにふいてからしまいましょう。
- 新しい弦を取り付ける前に、2B位の鉛筆で、糸巻きの手前の弦の当たる溝と、駒の溝にカーボンをつけて滑りをよくしておいてください。 これにより弦も切れにくなります。
- スチール弦は正しくチューニングするためにはアジャスタが必要です。ペルロンコアやガット弦は柔らかいため、糸巻きで容易にチューニングできるので直接テールピースにつけることができます。現在バイオリンのE線はすべてスチール弦のため必ずアジャスタが必要です。バイオリンのA線以下にナイロン弦またはガット弦を使用する場合は、アジャスタはない方が最良の音質を得ることができるでしょう。
- 弦の取り外しと取り付けは1本ずつ順に行います。これは駒の位置が変わってしまったり、魂柱が倒れたりするのを防ぐためです。弦を締める前に駒をあらかじめテールピース側に若干倒しておき、弦を張ったとき、駒の足の裏が表板にすきまなく当たっていて、テールピース側が垂直(または若干テールピース側に傾いている)に立っていることを確認します。また駒が左右に傾いていないかも確認します。駒の溝が適度でない場合(弦の半分位の深さが最適)や、溝の幅が広すぎたり、狭くて弦がはずれてしまう場合は調整が必要です。
- 新しい弦をまずテールピース側にかけてから、反対側を糸巻きの孔に差し込みます。糸巻きの中央から外側に向かって弦を巻いていきます。このとき重ね巻きにならないようにします。4回から6回程度巻き取れるのがちょうど良いサイズです。
- 正しく取り付けられた弦は、一度弾いてからまたはずし、後で再度とりつけて使用することも可能です。しかし全く音質に変化がないというわけにはいきませんが。
- 弦についた松ヤニは演奏後、必ず拭き取ることが大切です。同時に楽器の表面にとんだ松ヤニもよく拭き取っておきましょう。
- トマスティク社では、テールピースと駒の間隔は以下の通りが望ましいとしています。
Violin 5.7cm (2.25 inches) Viola 6.8 cm (2.75 inches) Cello 12.0 cm (4.75 inches) Double bass 21.0 cm (8.25 inches)- また、指板から弦までの距離は、スチール弦やナイロン弦ではガット弦より若干低めにする 必要があります。トマスティク社によるとスチール弦では次の寸法が望ましいとあります。これは 指板の駒に最も近い端で測ります。
Violin e2 I 2.5 mm - g IV 4.0 mm Viola a1 I 5.0 mm - c IV 4.5 mm Cello a I 4.5 mm - C IV 6.5 mm Double bass I 9.5 mm - E1 IV 10.5 mm- ナイロン弦はこれよりも若干高めにします。弦を低くすると、左指が楽になり、弦の寿命が延びます。
弦には以下のような特性を求められています。しかし、これらの特性を同時に100%満足できる材質があるわけではないので、どれに重点をおくかによって弦にいろいろな種類が生じます。
- いい音色が出せる
- ガットのような音色が出せる
- 倍音が豊富に出る
- 充実した音が出る
- 明るく輝かしい音色が出る。
- 金属っぽい音がしない。
- 大きな音量が出せる
- 弓に対する応答が良い
- 左手の弦の押さえに対する応答性が良い
- 音程が安定している
- チューニングが容易
- 長い期間使用できる
- 湿度や温度の変化に強い
- 張り替えてすぐに安定する
- 他の線とのばらつきが少ない。
- ピチカートでもアルコでも良い
- 妥当な価格である。
- ガット弦
柔らかく豊かな音色で、倍音は渋い響き。反面、耐久性がなく、音程を合わせにくく、温度や湿度 変化に弱いという欠点がある。また価格も高い。- ナイロン/ペルロン弦
輝きと暗さのバランスのとれた音色。ガット弦ほど湿度の影響を受けない。- スチール弦
音量が大きい。交換直後からチューニングが正確にできる。初心者向け。
太さはゲージ番号または次のような名前で分けられています。
- Stark(Thick)
太め、Solo/orchestra も同じ。太い弦は強い力で張るので、より大きな音を出すことができますが、大きな弓圧も必要なためソリスト向きです。- Mittel(medium)
中間。通常この太さが一般的に使用されます。- Weich(Thin)
細め、Dolce も同じ。オイドクサ(Eudoxa)やオリーブ(Olive)などのガット弦はゲージが数字で表わされていて 、数字が小さいほど細くなります。
バイオリンのE弦にはアジャスタにかける端の形状が2種類あります。自分の楽器にどちらの弦が 使われているかを覚えておきましょう。
長さは楽器のサイズにあわせた弦を使用するようにします。4/4以外に3/4から1/16までの サイズの弦があります。サイズの大きい弦を小さい楽器に無理にとりつけると、張る力を大きくして使用する ことになり楽器に負担をかけてしまいます。
- ボールエンド(Ball end) --- 端に丸い金具がついています。
- ループエンド(Loop End) --- 端が輪になっています。
弦はガットやナイロン、スチール(鋼)などでできた芯線(コア)の上に、スチールやアルミなどの金属を巻いてできています。バイオリンのE線やガットは巻き線がないものがあります。滑りの良い様に表面は滑らかに磨き上げられています。弦の材質の説明に2種類の材料の名称がある場合は、前が巻き線の種類、後ろが芯線の種類となります。
たとえばドミナントは Aluminum/Perlon となっていますから、ペルロンコアにアルミ巻き線を巻いたもの、ということになります。(1)芯線(コア)の材質としては次のようなものがあります。
- ガット(gut) ---------- 動物の腸から作られます。
- ペルロン(perlon) ----- ナイロンの1種で、ガットに近い性質のものです。
- ナイロン(synthetic) -- ペルロン以外の合成繊維、
- スチール(steel) ------ 細いスチール線を束ねたり(strand)、撚ったり(ropecore)したもの、またはスチール単心のものもある。。
- ハイカーボン(High carbon) ------- ヘリコアなど高級スチール弦に使用される。
(2)巻き線の材質としては次のようなものがあります。通常この材料の後ろに wound という言葉がついています。
- スチール(steel) ----------------- さびやすいのか巻き線としてはあまり使用されていない。
- クロム(chrome) ------------------ クロムコア、スピロコア、ヤーガー、ラーセン、プリムなどや、低弦の巻き線に多く使用されている。
- アルミニウム(aluminum)----------- ドミナントなど主にバイオリン弦に使用されている。
- ニッケル(nickel) ---------------- コレルリの弦で使用されている。
- 銀(silver) ---------------------- 主にビオラ、チェロで使用され、価格は高め。
- タングステン(tungsten) ---------- 主にビオラ、チェロで使用され、価格はかなり高め。
- ブロンズ(bronze)
- 銀プレート(silver plate)
- チタン(titanium) ---------------- 柔らかい大きな音を出せる。
弦のブランドには次のようなものがあります。
- ガットコア弦
- オリーブ(Olive) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のガットコア弦です。
- オイドクサ(Eudoxa) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のガットコア弦です。
- ゴールデン・スパイラル(Golden Spiral) - アメリカのダダリオ(D'Addario)社と一緒になった旧カプラン(Kaplan)社のガットコア弦です。
- ゴールデン・スパイラル・ソロ(Golden Spiral Solo) - アメリカのダダリオ(D'Addario)社と一緒になった旧カプラン(Kaplan)社のガットコア弦です。
- ペルロンコア弦
- ドミナント(Dominant) - オーストリアのトーマスティク(Thomastik)社のペルロンコア弦です。ガット弦に近い音色を求めています。
- プレシジョン(Precision) - オーストリアのトーマスティク(Thomastik)社のペルロンコア弦です。
- プロアルテ(Pro-Arte) - アメリカのダダリオ(D'Addario)社のペルロンコア弦です。
- ナイロンコア弦
- コレルリ・クリスタル(Corelli Crystal) - フランスのサヴァレ(Savarez)社のナイロンコア弦です。
- コレルリ・アライアンス(Corelli Alliance) - フランスのサヴァレ(Savarez)社のナイロンコア弦です。
- トニカ(Tonika) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のナイロンコア弦です。
- シノクサ(Synoxa) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のナイロンコア弦です。
- アリコア(Aricore) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のナイロンコア弦です。
- オブリガート(Obligato) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社の新しい素材のナイロンコア弦です。
- スチールコア弦
- ゴールドブロカット(Goldbrokat) - ドイツのレンツナー(Lenzner)というメーカーのブランドです。バイオリンのE線が有名です。
- ヤーガー(Jagar) - デンマークの弦メーカーで、スチール弦だけです。
- ラーセン(Larsen) - スウェーデンの弦メーカーで、やはりスチール弦だけです。
- スピロコア(Spirocore) - オーストリアのトーマスティク(Thomastik)社のスチール弦です。
- スパーフレキシブル(Superflexible) - オーストリアのトーマスティク(Thomastik)社の撚り線スチールコア弦です。
- ベルカント(Belcanto) - オーストリアのトーマスティク(Thomastik)社の新しく開発されたスチール弦です(まだチェロしかない)。
- ヘリコア(Helicore) - アメリカのダダリオ(D'Addario)社のハイカーボンスチールコア弦です。
- プリム(Prim) - スウェーデンのプリム(Prim)社のスチール弦です。
- コレルリ(Corelli) - フランスのサヴァレ(Savarez)社のスチールコア弦です。
- フレクスコア(Flexocor) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のスチールコア弦です。チェロ用も新しいものがでています。
- フレクスコア・パーマネント(Flexocor Permanent) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社の高炭素鋼ロープコア弦です。
- クロムコア(Chromcor) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のスチールコア弦です。
- クロムコア・プラス(Chromcor PLUS) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社のスチールコア弦で,チェロしかありません。ガットまたはナイロン弦との組み合わせに最適とあります。
- パーマネント(Permanent) - ドイツのピラストロ(Pirastro)社の新しい撚り線のスチールコア弦です。
弦のメーカーにはどんな歴史があるのでしょうか。
- トマスティク社
所在地はオーストリアのウィーン。創立は1919年。ガット弦は手がけず、新しい素材による弦を開発している。従来手作りを基本としてきたが、徐々に機械化しつつある。- ピラストロ社
所在地はドイツ。創立は1798年。200年の間、弦を作り続けてきている。オリーブとオイドクサというガット弦は世界的標準品となっている。オブリガートという新しい弦を発表している。- スーパーセンシティブ社
所在地はアメリカのフロリダ州サラソータ。創立は1930年イリノイ州シカゴ。- ダダリオ社
所在地はアメリカ。創立は1930年イリノイ州シカゴ。カプラン・ブランドもこの会社から出している。- ヘリコア
アメリカ。- ヤーガー
デンマーク。- ラーセン
スウェーデン。